駐在妻(夫)が現地採用を選ぶ前に!後悔しないためのチェックリストと7つの注意点
海外赴任中、駐在員の帯同家族として過ごしていると、ふとこんな気持ちになることはありませんか?
- 「自分だけ何もしていない気がする」
- 「履歴書に空白ができるのが怖い」
- 「せっかく海外にいるんだから、働いたほうがいいのでは?」
これから帯同予定の方(プレ駐妻・プレ駐夫)も、きっと同じような迷いを抱えるはずです。
実際に、現地採用として働いた友人たちの体験談を聞くと、働くことのメリットだけでなく、思わぬリスクや家計への影響も少なくないことがわかりました。
現地採用は単なる「仕事を得る」選択ではなく、駐在員家族として守られていた立場や制度を手放す決断でもあります。

この記事では、友人の実体験をもとに、現地採用で働く前に確認してほしいポイントを整理してみました!
「今すぐ働くべきか迷っている」「後で後悔したくない」
そんな方はもちろん、これから海外帯同予定の方にもぜひ読んでほしい内容です。
- 海外帯同中で現地採用に興味があるけど、決断に迷っている人
- 将来のキャリアや家計への影響を考えながら、慎重に働きたい人
- 友達の体験談や実例をもとに、リスクや注意点を知りたい人
この記事では、「現地採用はやめたほうがいい」と言いたいわけではありません。
働きたい気持ちだけで突っ走らず、一度立ち止まって確認してほしいポイントを、順番に整理していきます。
はじめに:キャリアへの焦りで「即決」するのは危険
駐在帯同中、こんな気持ちになるのは自然なことです。
むしろ、真面目で将来を考えている人ほど、焦りを強く感じやすいのだそうです。
そんな駐妻(夫)さんが一度は考えるのが「現地採用」です。
現地採用とは、駐在員帯同ではなく、現地企業に直接雇用される形で働くことを指します。
実際に友人たちの声を聞くと、
- 働き始めた結果、世帯収入が減った
- ビザや保険の問題で想像以上に不安定になった
- 帰国後にキャリアとしてうまく説明できず後悔した
というケースは決して珍しくありません。
注意点①:ビザ切り替えと「強制帰国」のリアルなリスク
現地で働く場合、多くの国では「配偶者ビザ」から「就労ビザ」への切り替えが必要になります。
就労ビザで働いていた場合、会社を辞めると、あなたはその国に滞在する資格を失います。
国によっては、退職後すぐに配偶者ビザへ戻せる場合もありますが、
- 手続きに時間がかかる
- 一度出国が必要
- 書類が揃わず切り替えできない
といったケースもあります。
さらに注意したいのが、国ごとのルールの厳しさです。
たとえばタイなど一部の国では、退職後数日以内に国外退去を求められるケースもあります。

タイだと自己都合でも会社都合でも退職後数日以内にビザが無効になり、出国しないといけないらしいです。
国ごとどんなルールなのか確認しましょう。
「ちょっと合わなかったから辞めよう」
「試しに働いてみて、ダメなら戻ればいい」とそう簡単にいかないのが怖いですね。
パートナーは駐在員として滞在できるのに、自分だけが先に帰国しなければならない、という事態も現実に起こり得ます。
現地採用を考えるなら、「辞めた後、どうやってこの国に残るのか(あるいは帰るのか)」ここまで想定しておくことが大切です。
注意点②:消える手当・福利厚生という最大の落とし穴
現地採用を考えるとき、多くの人がまず見るのは「自分の給料がいくらになるか」ではないでしょうか。
でも、見るべきなのは自分の給料以外にも確認すべきことがあります。
それは、「働くことで、“受けられる恩恵”が消えないか」という視点です。
共働きで失われる可能性があるもの
パートナーの会社の規定によっては、「配偶者が働き始めた瞬間」に、以下のような福利厚生が対象外になるケースがあります。
| 配偶者手当 | 月数万円でも、年間にするとかなりの額になります。これがまるごとカットされる可能性があります。 |
| 家賃補助 | 「帯同家族が就労していないこと」が条件になっている場合、 共働きになると補助額が減額、もしくは支給停止になることも。 |
| 海外旅行保険 | 駐在員向けの手厚い団体保険から外れるケースがあります。 |
| 日本の年金(第3号被保険者) | 配偶者の扶養に入っている場合、保険料の自己負担はありません。 |
| 一時帰国費用 | 駐在員家族として支給されていた「家族分の航空券代」が対象外になるケースもあります。 |
注意点③:キャリアのリスク|帰任と仕事内容・語学のギャップ
現地採用で働く場合、キャリアは必ずしも自分の思い通りには進みません。
そのリスクは大きく分けて2つあります。
パートナーの帰任でキャリアが強制終了する
駐在帯同中の現地採用は、せっかく成果を出してもパートナーの帰任が決まれば続けられないこともあります。
対策としては、入社前に以下を確認しておくことが重要です。
- リモートワークへの切り替えは可能か
- 他拠点への異動や転籍の選択肢はあるか
これを確認しておくだけで、数年後のキャリアを守る準備になります。
語学力不足や仕事内容のギャップで成長が止まる
「日系企業だから日本語でOK」と言われても、
実際にはローカルスタッフとのやり取りや書類作成で語学力が必要になることがあります。
- 単純作業ばかりでスキルが身につかない
- 裁量のある業務に回してもらえない
- キャリアアップのチャンスがほとんどない
帰国後も評価される経験を意識的に作る
現地採用をキャリアに変えるには、働きながら「帰国後に評価される経験」を意識することが大切です。
例えば:
- 現地スタッフの業務調整やマネジメントを担当する
- 異文化の中で業務フローを改善する
- 日本本社との橋渡しを担う
こうした経験は、単なる「仕事」ではなく日本の転職市場でも活かせる実績になります。
ジョブディスクリプションを必ず確認
入社前には、仕事内容の具体性を確認しましょう。
- 業務内容が明確に書かれているか
- 裁量や責任範囲はどの程度か
- どの語学が必要か
曖昧な表現ばかりの場合、「頭数合わせの採用」で終わるリスクがあります。
始める前にどこまで想像できているかで決まります。
注意点④:休み・生活リズムのズレが想像以上につらい
現地採用で働き始めて「こんなはずじゃなかった」と感じやすいのが、休みと生活リズムのズレです。
日系カレンダー vs 現地カレンダー
パートナーは日系企業勤務。日本の祝日ベースで休みが決まっている。
一方で、自分は現地採用。現地の祝日・労働カレンダーで動く。
この違いが、思っている以上に生活に影響します。
- 祝日が合わず、連休が取れない
- 日本の大型連休でも自分は通常勤務
- 家族での一時帰国や旅行の計画が立てづらい
「海外にいるのに、なかなか一緒に出かけられない」
そんな状況になることも珍しくありません。
仕事と家庭の両立
駐在員のパートナーは、
- 会社の会食や接待に参加することが増える
- 夜遅くまで帰宅できない日が多い
その間、家事・育児は自分一人で回さなければならないことが少なくありません。
さらに、自分自身も慣れない海外での仕事をこなす必要があります。
- 現地での会議や業務で都合がつかない
- 日本や他国とのやり取りが必要な場合、時差の関係で早朝や残業が続く
こうした状況は、家事・育児の負担をさらに増やします。
日本では両親など頼れるサポートがあったかもしれませんが、海外ではそれが難しいのが現実です。
東南アジアなら頼れるサポートもある
東南アジアの一部では、
- アヤさん(家事手伝い)
- ナニーさん(シッター)
といったサポートを雇える場合があります。
ただし、信頼関係を築くまでには時間がかかり、トラブルも起きやすいのが実情です。
初めからフル活用できるわけではないことを頭に入れておきましょう。
注意点⑤:健康・メンタルの問題
駐在帯同生活そのものが、実はかなりの環境ストレスを伴います。
言語、文化、気候、人間関係。
そこに「仕事」が加わると心と体の負荷は一気に跳ね上がります。
それでも多くの人が、「働きたい」「頑張りたい」という気持ちが先に立って自分のコンディションを後回しにしてしまいます。
保険が変わると、通院のハードルも変わる
現地採用になることで、パートナーの会社の付帯保険から外れるケースがあります。
すると、
- 日本語が通じるクリニックが使えない
- キャッシュレス診療が不可
- 受診のたびに高額な自己負担
といった問題が出てくることも。
「ちょっと不調だけど、病院はやめておこう」
そうやって我慢を重ねてしまい、
結果的に体調を崩す人も少なくありません。
注意点⑥:「世帯年収」で考えるべき理由
現地採用を考えるとき、つい自分の月給ばかりに目がいきがちです。
でも本当に見るべきなのは、世帯全体でどれだけ増えるか減るかです。
「自分の給料 > 失う手当」にですか?
計算はシンプルです。
あなたの給与 + パートナーの給与
−(失う手当 + 増える税・保険+追加コスト)
ここで一度、冷静に考えてみてください。
- 自分の現地給与
- 失われる配偶者手当
- 減額される家賃補助
- 自己負担になる年金・保険
- 追加で発生する医療費や帰国費用
- 家事や育児のサポートを外注する必要が出る
「働いているのに、世帯としてはマイナス」という状態になることもあります。
手元のお給料は増えているのに、家計全体で見ると、静かに出費が増えている。
このズレに気づかないまま数年過ごしてしまう人も少なくありません。
必ず確認したい:パートナーの会社規定と就労可否
現地採用を考える前に、絶対に最初に確認してほしいことがあります。
それが、パートナーの会社が「帯同家族の就労」をどう扱っているかです。
ここを曖昧にしたまま進むのは、正直かなり危険です。
「働いていいと思ってた」は通用しない
日系企業の中には、今でも
- 帯同家族の就労を原則禁止
- 事前申請・承認が必須
- 職種・雇用形態に制限あり
という規定を設けている会社が少なくありません。
「聞いた・聞いてない」にならないように社内規定やメールで確認しましょう。
バレたときのリスクは想像以上に重い
規定違反が発覚した場合、
- 配偶者手当の遡及返還
- 家賃補助・保険の打ち切り
- 即時帰国命令
といった対応が取られる可能性もあります。
一番ダメージを受けるのは、パートナーのキャリアです。
「家族の行動」が原因で評価や立場に影響が出る。
これは、精神的にもかなりきつい状況です。
注意点⑦:知らないと危険:税金・社会保険
現地採用で働き始めると、意外と多いのが
「税金や保険のこと、よくわかってなかった…」 という後悔です。
海外で働くと、どこに・何を・どう支払うかが一気に複雑になります。
税金
現地企業では給与から税金が引かれることが多く、
給与明細を見ると「税金は引かれている」と安心しがちです。
でも、給与から源泉徴収されていても、場合によってはその国で確定申告が必要になることがあります。
年金
現地採用になると、
- 日本の年金は、第3号被保険者でなくなる場合があり、自分で任意加入するかどうかを選ぶことになる
- 現地の社会保険・年金に加入することになる場合が多い
特に注意したいのが、第3号被保険者でなくなることです。
- これまで配偶者の被扶養者として年金保険料が免除されていた場合も、現地採用になると自己負担が発生する可能性があります
- 将来の受給額や加入期間に影響することもあるため、事前に把握しておくことが重要です
海外赴任帯同者の国民年金第3号被保険者については下記記事で詳しく解説しています。
海外赴任帯同で国民年金はどうなる?第3号海外特例を分かりやすく解説!
さらに、日本と協定を結んでいる国の場合は、社会保障協定によって以下のメリットがあります。
- 日本と現地での加入期間が通算される
- 二重に保険料を払わなくて済む
逆に協定対象外の国だと、二重払いになったり、年金受給資格が短くなるリスクもあります。
日本と社会保障協定を締結している国(2026年2月時点)
ドイツ,英国,韓国,アメリカ,ベルギー,フランス,カナダ,オーストラリア,オランダ,チェコ,スペイン,アイルランド,ブラジル,スイス,ハンガリー,インド,ルクセンブルク,フィリピン,スロバキア,中国,フィンランド,スウェーデン,イタリア,オーストリア
健康保険
現地採用では、健康保険加入にも注意が必要です。
多くの国では現地の健康保険に加入することになりますが、雇用形態や収入によって加入できない場合があります。
加入できない場合は、民間保険に個人で加入する必要があります
専門家に一度相談してみる
海外の税金・社会保障は複雑で、ネットだけでは判断が難しい分野です。
- 国ごとの制度が違う
- 配偶者の状況や滞在期間で条件が変わる
こうした条件が重なる場合、一度専門家に相談しておくだけで安心感が全く違います。
後悔しないための最終チェックリスト
現地採用を決める前に、以下を確認してみてください。
- ビザを失ったらどうするか
- パートナーの会社規定に違反していないか
- 世帯年収は本当に増えるか
- 帰任が決まったら仕事はどうなるか
- 帰国後、この経験をどう説明するか
「いつまで働くか」「帰国が決まったらどうするか」
現地採用は、
始める前より、終わらせ方のほうが大切です。
- 何年働くつもりか
- 帰任の兆しが出たら、いつ動くか
- 次の一手は何か
ここまで家族で共有できていれば、間違いのない選択になるはずです。
働かない=何もしないではない
“働かない”という選択も立派な戦略です。
- 帰国後に活かせる資格取得
- 語学力の底上げ
- リモートでできる業務委託
- 副業や発信の準備
短期的な収入より、中長期のリターンをどう作るかを考えましょう。
「今、働くか」より「どう生き残るか」
現地採用はチャンスになることもあれば、消耗する選択になることも。
だからこそ、**「今すぐ働くか」より、「帰国後も含めてどう生き残るか」**を優先して考えることが大切です。
おわりに
現地採用は、誰にとっても正解でも、不正解でもありません。
ただ一つ言えるのは、「知らずに選ぶと後悔しやすい」ということです。
焦りの中で決断する前に、この記事が一度立ち止まるきっかけになれば嬉しいです。
あなたのキャリアと家族の生活がどちらも守られる選択ができますように。
そもそも海外赴任帯同を迷っている方は下記の記事も参考にしてみてください。
海外赴任帯同で「休職 or 退職」どっちを選ぶ?

